支援企業の概要について
実際に支援を行った企業は、玩具やプラモデルの製造を行っており、主に自社ECをメインに活用しているトイホビー系企業です。
CDP導入に至った背景としては、社内でデータが散在してしまっていたため、データを活用した効率的な販売促進が行えていなかったことがあげられます。そこで顧客データを収集・活用していくための基盤としてCDPを構築し、デジタルマーケティングの推進を図りました。
トイホビー企業が実際に直面していた、業務工数に関する課題とCXに関する課題を整理しています。
業務工数に関する課題と対応策
この企業では業務工数に関する課題を2つ抱えていました。
課題 1:需要予測のアナログ業務による工数負荷
商品の需要予測を行う際に必要な商品情報データが各部署に散在しており、なおかつ部署ごとでバラバラのフォーマットに手入力された状態で管理されていました。
そのため需要予測を行うまでに各部署からデータを収集し、分析に使える形に整えるまでに多くの作業工数がかかっていました。

解決策
まずは事業部ごとに異なる商品情報の入力フォーマットを整備・統一し、データを統合しやすい状態にしました。
次にCDPの機能を活用し、各事業部で入力された商品データを自動で収集・統合を行うことで、需要予測を行いやすい状態をつくりました。

こうしたデータ収集・集計業務の効率化によって、需要予測業務にかかっていた作業工数を削減することができました。
課題 2:需要予測業務の属人化
商品の需要予測は、ベテラン社員の経験をもとにした予測で行っていました。この方法では人的工数がかかる上に、精度が低いなどの課題が顕在化していました。

解決策
CDPの機械学習機能を活用して過去の商品売上データやトレンドデータをもとに販売数を予測できるモデルを構築し、それをもとに需要予測を行えるようにしました。

その結果、需要予測に関わる人的工数を削減でき、属人化を脱するだけでなく、より精度の高い需要予測が可能になりました。
CXに関する課題と対応策
この企業ではCXに関する課題を2つ抱えていました。
課題 1:スピーディーにデータを活用した施策ができていない
顧客へのコミュニケーションのシナリオを考える上で必要なデータは手動で抽出しており、施策を行うまでに多くのリードタイムがかかっていました。
そのため、分析したユーザーステータスに基づいたコミュニケーションを取ろうとしても、すでに分析したタイミングのユーザーステータスとから乖離してしまっている状態でした。
またMA(マーケティング・オートメーション)ツールでのデータ活用のみとなっており、広告配信などの他チャネルを活用できていませんでした。

解決策
CDPの自動化機能を用いてシナリオ作成に必要なデータを自動で抽出し、コミュケーションを行うターゲットのセグメント作成の自動化を行いました。
またCDPのコネクタ機能を活用することで、開発コストや工数をかけずに広告配信プラットフォームなどへのデータ連携を可能にしました。

結果として施策を行うまでのリードタイムを圧縮でき、ユーザーステータスに基づいた施策を行えるようになりました。
またコネクタ機能を活用することで開発工数をかけずにMAツール以外の多くのチャネルを活用することが可能になり、従来よりも速くPDCAを回せるようになりました。
顧客に合わせた1to1コミュニケーションを容易に取ることができるため、CXの向上につなげやすくなっています。
課題 2:新規顧客の離脱
施策に活用できる自社データが限られており、新規顧客に2回目以降の購買を促すコミュニケーションが取れていませんでした。
そのため、初回購入のみにとどまり、2回目の購入につながらない顧客が多くいました。

解決策
購買データに基づいたユーザー分析を行い、リピート顧客のランクを定義しました。
加えて、購買ログ・アクセスログ・会員データなど分断されていたデータをCDPで統合することで、新たに「未購入商品×未購入商品を複数回閲覧したユーザー」のデータを使ったセグメントを開発し、2回目の購入を訴求できるユーザーをターゲットとした施策を打ちました。

その結果、ランクごとのリピートユーザーが大幅に増加しました。
CDPを導入する以前の施策と比較するとCTR・CVRが大きく上昇しており、CDPを活用した施策が2回目の購入に大きく貢献していることが見て取れます。.png?width=800&height=222&name=%E6%8C%BF%E5%85%A5%E7%94%BB%E5%83%8F12%20(2).png)
まとめ
今回は、弊社が実際にCDP活用を支援したトイホビー系企業の事例をベースに、データ活用基盤であるCDPを用いたECサイトにおける課題の解決についてご紹介しました。
業務工数面での課題においては、事業部ごとに散在しているデータをCDPを用いて統合することで、需要予測に必要なデータを集計しやすくしました。また、CDPの機械学習機能を用いて作成した予測ロジックをもとに需要予測を行えるようにすることで、業務工数削減を実現させるだけでなく、予測の精度を向上させました。
CX向上関する課題については、CDPのコネクタ機能を活用することでスピーディーな施策実施を実現させ、ユーザーステータスに基づいたコミュニケーションを行えるようにしました。また、分断されていたデータを統合することで新たなセグメントを作成し、2回目の購入を訴求できるユーザーをターゲットとした施策を打つことで、新規顧客の離脱を防ぎました。
弊社では今回の記事で紹介したようなTreasure Data CDPの構築やコンサルティング、データ戦略の立案といったサービスに留まらず、課題に合わせてさまざまなサービスを提供しています。CDPにご興味のある方、導入を検討している方、またマーケティング全般に課題感をお持ちの方は、是非お気軽にご相談ください。
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