【データクリーンルーム活用】ブランドリフト調査の課題を解決!媒体横断比較・柔軟な調査設計が可能に
- 執筆者:
- プラットフォームR&D本部 ブランドR&D局
広告接触によって、ブランドや商品の「認知」「好意」「購入意向」といったユーザーの態度変容を捉える手法が「ブランドリフト調査」です。
このブランドリフト調査について、「媒体ごとに調査仕様が異なり、横並びで結果を比較しにくい」「広告出稿条件(出稿金額・期間など)を満たせず、そもそも実施できない」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実はこれらのお悩みは、データクリーンルーム(DCR)を使ったブランドリフト調査によって、解決できる可能性があります。本記事では、データクリーンルームを使ったブランドリフト調査のメリットと活用術を紹介します。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査とは
プライバシー保護とデータ活用を両立するデータクリーンルーム
データクリーンルームとは、企業が保有する個人情報データをプライバシー保護した状態で統合・分析できるセキュリティの高いクラウド環境です。
近年、個人情報保護法の改正やOS・ブラウザのベンダーによる3rd Party Cookieの規制が進み、これまで広告配信や広告効果測定に活用できていたユーザーデータの規制が強化されています。 こうした背景のなかで、個人を特定することなく、企業が保有するデータの統合・分析をおこない、さまざまな切り口での広告効果測定を可能にする手法としてデータクリーンルームは注目されています。
Hakuhodo DY ONEでは、主要な媒体社と連携のうえ、データクリーンルームを活用した分析の支援をおこなっています。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査の概要
ここからは、データクリーンルームを使ったブランドリフト調査について、具体的に説明していきます。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査では、任意の配信設計(目的・ターゲティング・フォーマット等)で各媒体の広告配信をおこない、広告配信後に調査パネル*1を対象にWeb上でアンケート調査を実施します。その後、各媒体のデータクリーンルーム上で、広告接触データ*2とアンケート調査データを安全に突合し、広告接触者/非接触者のアンケート調査結果を比較することで、広告接触者のリフト(態度変容)を確認します。この手法では、アンケートの調査設計を全媒体で統一できるため、媒体をまたいだ結果の横並び比較がしやすくなります。
また、広告出稿には条件がなく、データクリーンルームの分析費用によって実施可否を検討できる点も特長です。設問についても、定型設問に限らずカスタマイズが可能で、目的に応じた調査設計がおこなえます。さらに、テレビ接触データを活用できる場合は、テレビとデジタルの重複接触も含めて分析が可能です。たとえば、テレビ接触者/デジタル接触者/重複接触者に分けて、態度変容の違いを確認することができます。
*1:あらかじめ登録された調査対象者に対して、アンケート調査をおこなう手法
*2:実際に該当の広告が配信されたユーザーのデータ
媒体社のブランドリフト調査との仕様比較、メリット
Metaのブランドリフト調査との仕様比較
ブランドリフト調査は各媒体社に依頼して実施することも可能ですが、データクリーンルームを用いる場合とは、調査設計の自由度や実施条件が異なります。ここではMetaを一例に比較します。
Metaに依頼するブランドリフト調査では、設問数は最大3問で、そのうちカスタマイズ可能な設問は1問のみです。
広告配信の際に、ユーザーを広告接触グループと非接触グループに分け、各ユーザーに対してプラットフォーム上(Facebookフィード、Instagramフィード、Instagramストーリーズ、Instagramリール)でアンケートを配信します。この両グループの回答差分をもとに、広告接触グループがリフト(態度変容)したかどうかが判定されます。調査に際し分析費用はかかりませんが、調査対象者を確保するため一定の広告リーチ数が必要となり、広告の出稿金額には下限があります。
一方、データクリーンルームを使ったブランドリフト調査では、定型設問だけでなく設問のカスタマイズもでき自由な調査設計が可能です。プラットフォーム上でのアンケート配信ではなく、広告配信後に調査パネルに対してアンケートを配布し、データクリーンルーム上で広告配信データと突合させることで、広告接触者/非接触者の集計をおこないます。データクリーンルームの分析費用はかかりますが、広告の出稿金額などに厳格な条件はありません。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査のメリット
ここまでMetaに依頼するブランドリフト調査を一例に仕様を比較してきました。ここから、データクリーンルームを使ったブランドリフト調査をおこなうメリットについて、五つのポイントに分けて整理します。
【広告の出稿条件に左右されにくい】
媒体社によるブランドリフト調査では広告出稿に条件が設定されていることがあります。一方で、データクリーンルームを活用したブランドリフト調査であれば、分析費用はかかりますが、広告配信は任意の配信設計(目的・ターゲティング・フォーマット等)でおこなうことが可能です。
【設問数と調査設計の自由度が高い】
各媒体社に依頼するブランドリフト調査よりも、多くの設問数で調査が可能です。また、定型設問では設定できない独自性のある文言での設問や、回答に対して以降の設問を分岐させるような複雑な設計も可能です。
【回答の信頼性を担保しやすい】
調査対象者は、アンケートの依頼が来ることを了承の上で調査パネルに事前登録しているユーザーです。アンケート回答へのモチベーションが高く、かつ虚偽や不適切な回答は規約違反ともなるため、有効な回答が多く集まりやすい傾向にあります。
【分析粒度を深めやすく、媒体横断での比較ができる】
調査パネルを使うため、あらかじめ登録されている属性データを活用した分析が可能です。各媒体の広告配信時のターゲットユーザーに関わらず、調査パネルが持つ属性データの範囲で自由に区切って分析し、媒体横断での比較ができます。
また、媒体社への依頼によるブランドリフト調査よりも、フリークエンシー回数や配信面、クリエイティブごとの結果など、詳細な分析粒度で結果を確認することができます。
【テレビ×デジタルの統合分析が可能】
テレビ接触データを活用できる場合、テレビ接触者、デジタル接触者、テレビとデジタルの重複接触者での結果を確認できます。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査の活用術
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査のメリットをふまえ、具体的な活用術を三つ紹介します。
活用術1:広告施策の総予算が限られる中で複数媒体を横断して調査したい場合
広告施策の総予算が限られる場合、各媒体社に依頼するブランドリフト調査では「1媒体あたり一定規模の出稿」がハードルになり、複数媒体での実施が難しいことがあります(広告出稿金額が1媒体で1,000万円程度必要となることもあるため)。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査であれば、分析費用はかかるものの広告出稿金額に条件はありません。たとえば総予算1,000万円の場合、450万円ずつ2媒体に広告出稿し、残りの100万円を分析費用*3に充てることで、複数媒体でのブランドリフト調査が実施可能になります。
*3:分析費用はブランドリフト調査の設計や媒体数によって異なります。
活用術2:自由に調査設計を組みたい場合
媒体社に依頼してブランドリフト調査をおこなう場合、媒体ごとに設問数や設問形式が定型化されていることが多く、要件によっては実現が難しい場合があります。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査であれば、設問のカスタマイズが可能です。10問以上の多岐にわたる設問設定や、自由な設問文の作成、回答に応じて次の設問を分岐させるような複雑な設計も可能となり、自由度の高い調査設計をおこなうことができます。
たとえば、商品やサービスの利用経験・頻度を問う設問で回答者を分類し、利用頻度の高い回答者に対してさらに次の設問を分岐させるような設計も可能です。また、広告を配信した媒体に限らず、複数媒体の利用状況や広告認知を問う設問も設定できるため、要件に合わせた調査・集計が実施できます。
活用術3:より詳細な示唆を得たい場合
媒体社に依頼してブランドリフト調査をおこなう場合、結果を確認できる粒度は各媒体の仕様によって異なるため、横並びでの比較が難しくなりがちです。たとえば、年齢や性別、フリークエンシー回数ごとに結果を確認できるのかは媒体によって異なる場合があります。
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査では、共通の調査パネルを利用するため、年齢、年収、既婚未婚、子ども有無、職種などの属性ごとの結果を全媒体で統一して確認できます。
さらに、媒体社のブランドリフト調査では確認できない場合が多いフリークエンシー回数、配信面、クリエイティブごとの分析や、テレビとデジタルを掛け合わせた分析もできるため、より多角的な示唆を抽出できます。
ただし、分析の粒度が細かくなればなるほど、該当する条件での回答数が不足し、ブランドリフト調査の結果が集計できない可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
データクリーンルームを使ったブランドリフト調査は、媒体ごとの仕様差や実施条件といった従来の課題に対して、「媒体横断で統一した設計・比較」と「柔軟な調査設計」の両面から有効な選択肢となり得ます。ブランドリフト調査の実施条件や、比較・分析の自由度に課題感をお持ちの場合は、解決策の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。
本記事が、ブランドリフト調査に関するお悩みを解決し、データクリーンルームを使ったブランドリフト調査導入の一助となれば幸いです。
プラットフォームR&D本部ブランドR&D局 執筆者
吉沢 知夏
大江 萌
髙野 夢大
亀村 祐登
櫛田 敦美
この記事の著者
プラットフォームR&D本部 ブランドR&D局
Hakuhodo DY ONEのプラットフォームR&D本部ブランドR&D局は、デジタル広告のブランド領域に深い知見を持つエキスパートで構成される、メディア特化型の研究開発部門です。データに基づいた自社独自のナレッジ創出や推奨設計の構築を通して、クライアント企業の広告効果を最大化し、ブランド価値向上に貢献することをミッションとしています。
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