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YouTubeブランドリフトをデータの力で最大化する ―独自クリエイテ ィブ・フレームワークを解説

執筆者
越 一峰
この記事は約1分で読めます

YouTubeにおけるブランド認知や広告想起の向上は、多くのマーケターにとって普遍的な課題です。Hakuhodo DY ONEではこの課題に対し、実際の配信実績データとAIによる動画解析を組み合わせた体系的な分析を実施し、ブランドリフトに影響を与えると考えられるクリエイティブ要素を導き出しました。

その結果、媒体社の推奨事項を裏付けるだけでなく、さらに10件の独自要素を加えた「5カテゴリー・20要素」を抽出しました。

本記事では、この研究から生まれた当社独自のクリエイティブ・フレームワークについて解説します。また、クリエイティブ単体の最適化にとどまらず、配信設計やベースライン(事前の認知水準)までを見据えた、ブランドリフト最大化のための統合戦略についても紹介します。

 YouTube広告におけるブランドリフトの重要性と、その課題 

デジタルマーケティング施策において、YouTube広告は幅広い層へのリーチや多様な表現力から、ブランドの認知度や好意度を高めるブランドリフト施策の重要な手段として活用されています。しかし、実際にどのようなクリエイティブや配信方法がブランドリフトに効果的なのか、その明確な解を見つけることは容易ではありません。

多くの企業がブランドリフトの重要性を認識しながらも、「どの要素がブランドリフトに最も貢献するのかわからない」「クリエイティブの効果検証が感覚的になりがちで、具体的な改善策が見えにくい」といった課題に直面しています。Hakuhodo DY ONEは、こうしたマーケターの課題を解決するため、データとAIを活用した客観的かつ定量的なアプローチによる、YouTube広告におけるブランドリフトのメカニズム解明に取り組んできました。

次章では、この課題解決に向けたHakuhodo DY ONEの具体的な研究アプローチや、独自の検証設計と分析手法について解説します。

 YouTubeブランドリフトを定量的に解明する独自の調査設計 

Hakuhodo DY ONEでは、前述の課題を解決し、ブランドリフトに寄与する要素を特定するため、独自の検証を実施しました。今回の検証では、YouTubeにおけるアッパーファネル(広告想起・ブランド認知)を対象に、過去の配信実績とAI解析値を統合して分析をおこなっています。

具体的には、各動画のクリエイティブ要素や特徴にタグ付けした上で、同一のブランドリフト調査内に含まれる「高リフト動画」と「低リフト動画」をペア化し、要素差分を洗い出しました。さらに当社独自のAIツールを用いて解析値の比較・分析をおこなうことで、ブランドリフトに貢献するクリエイティブ要素を客観的に特定しています

データと統計に基づいたクリエイティブ評価

本研究の特長は、これまで感性に左右されやすいとされてきたクリエイティブ領域を定量的に分析している点にあります。

ペア比較:ブランドリフトサーベイ(BLS)の同一調査内で、高リフト動画と低リフト動画の違いを比較しています

統計基準の採用:実務において信頼に足る手法を用いることで、分析結果の客観性と信頼性を担保しています。

AIによる定量的可視化:当社独自のAIツールで動画構成やシーン展開、コピーの注視度、さらには質といった、これまで定性的に評価されてきた要素を数値で測定し、ブランドリフトへの寄与度を明確に可視化しています。

重要度のランク付け:各要素の出現頻度を特定することで、クリエイティブ改善の優先順位付けに役立つ指針を提供しています。

 Hakuhodo DY ONE独自のクリエイティブ・フレームワーク

前述の分析から、このHakuhodo DY ONE独自のクリエイティブ・フレームワークが導き出されました。このフレームワークは、媒体の推奨事項を追認するだけでなく、これまで漠然としていたブランドリフトの傾向を、秒数や回数など具体的な基準値として明確化しています。さらにHakuhodo DY ONE独自の10要素を加えた、5カテゴリー・計20の要素から構成されています。各要素には寄与度に応じた「重要度」が設定されており、実務に即活用できる実践的なガイドラインとしてすでに当社社内で活用されています。

ブランドリフトに影響を与える主要クリエイティブ要素(一部抜粋) 

このフレームワークでは、ブランドリフト最大化に貢献する20のクリエイティブ要素を明らかにしています。本記事では、その中から特に重要なポイントや具体的なイメージがしやすい要素を抜粋して紹介します。

20の要素は、「1.ブランドの露出」「2.アテンションの獲得」「3.メッセージの強化」「4.アクションの提示」「5.フォーマット/構成の工夫」の5つのカテゴリーに分類されています。

 

ブランドリフトを最大化させるためには、「どのブランドに関する動画か」を視聴者に明確に伝え、全編を通じた複数回のブランド露出によって記憶に定着させることが不可欠です。今回の検証では、単純な製品の露出だけではブランドの特定が難しく、リフトへの寄与が限定的であることも示唆されました。そのため、ブランドロゴやテロップ、ナレーションといった言語的情報を戦略的に組み合わせることが重要です(「1.ブランドの露出」、「3.メッセージの強化」に関連) 。

また、視聴者の注意を瞬時に引きつけるための映像表現の工夫や、トレンド・季節性に即したテーマ設定もポイントです。さらに、動画広告の配信面やスマートフォンの画面占有率といった視聴環境を考慮した構成・フォーマットの最適化も、ブランドリフト向上を左右する重要な要素となります(「2.アテンションの獲得」、「5.フォーマット/構成の工夫」に関連)。

さらに、広告想起や認知を目的とした動画であっても、キャンペーン内容やお得なオファーといった具体的なインセンティブを提示することが、ブランドリフトに寄与することが明らかになりました(「4.アクションの提示」に関連)。

 

具体的な要素例

 ①ブランドの露出

動画の冒頭でブランドを明確に訴求し、その後も継続的にブランドを露出することが重要です。視聴者に何のブランドの動画であるかを認知してもらい、複数回の露出で記憶に定着させることが求められます。
•    冒頭何秒以内にブランドを露出すべきか
•    動画全編に渡ってロゴをどのように、何回以上露出すべきか
•    どの情報を優先して露出 すべきか
など

 ②アテンションの獲得

視覚的な工夫やトレンドに沿ったテーマ設定などで視聴者の注意を引き付け、継続視聴を促す工夫が必要です。
•    視覚的にどのような工夫をすべきか
•    コンテンツやテーマは何が良いか
など

 ③メッセージの強化

漠然としたブランドイメージよりも、ブランドの機能や特長など具体的な情報を伝える構成がリフトに寄与します。
•    どのような訴求内容が効果的か
•    テロップではどのような訴求が良いか
•    どのタイミングで重要なメッセージを伝えるべきか
など

クリエイティブにとどまらないブランドリフト最大化のための3つの統合的アプローチ

これまで、ブランドリフトに影響を与えるクリエイティブ要素について説明してきましたが、成果を最大化するためには、クリエイティブ単体の最適化だけでは不十分です。Hakuhodo DY ONEでは、ブランドリフト向上を再現可能な施策にするため、クリエイティブに加えて以下の独自ナレッジや推奨設計を組み合わせた統合的なアプローチを提唱しています。

配信設計:配信手法やデバイス、アドタイプ、フリークエンシー、ターゲティングといった要素が、ブランドリフトにどのように影響を及ぼすか、広告運用において最適なパフォーマンスを引き出すための重要な設計となります。

ベースライン:広告接触前のブランド認知水準(ベースライン)が、その後のブランドリフトの上り幅にどう影響を与えるかを分析します。これは施策のプランニングや効果測定の振り返り時に不可欠な情報です。

ブランドリフトの最大化には、クリエイティブ、配信設計、ベースラインの3つの要素を相互に関連付けて分析し、統合的に最適化するアプローチが求められます。

Hakuhodo DY ONEが提供するブランドリフト最大化への統合支援

本研究で導き出されたクリエイティブ・フレームワークでは、媒体推奨を裏付けるだけでなく、秒数や回数など具体的な基準値を示すと同時に、Hakuhodo DY ONE独自の要素と重要度も提示しています。そのため、実務におけるYouTubeクリエイティブの改善に直接活用できるフレームワークとなっています。

また、クリエイティブ単体の最適化にとどまらず、配信設計やベースラインまで含めた統合的なアプローチによって、ブランドリフトの最大化が期待できます。Hakuhodo DY ONEでは、これら3つの領域を横断した支援が可能です。ご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の著者

越 一峰のプロフィール写真

越 一峰

2008年に博報堂DYグループへ参画。制作ディレクションからソーシャルメディア、オウンドメディア、インフルエンサーマーケティング、広告運用に至るまで、デジタルマーケティングの広範な領域で豊富な経験と専門性を培う。現在は、広告パフォーマンスとクライアント企業の事業成果の最大化に貢献するため、広告運用およびクリエイティブのナレッジ創出とツール開発を推進。

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