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Google Merchant Centerアップデート徹底解説 AIモードに備える3機能

執筆者
荒井 祐貴
この記事は約1分で読めます

Google Merchant Center(以下、GMC)では、Google Marketing Liveで発表された「動画アセット」や「ブランド(メーカー)プロフィール」といった新機能が順次公開されています。これに合わせて「購入手続きへの直接リンク」のような機能追加やユーザーインターフェース(UI)改善もおこなわれており、GMCが提供する情報がより充実してきています。

2025年12月現在、日本のGoogle 検索における生成AI表示(以下、AI表示)において、GMCの商品情報がどの程度参照・表示されるかについては、まだ具体的な公表はありません。しかし、今回の一連の機能拡張は、いずれも将来的にAI表示へ提供される公式データの質を向上させる狙いがあると考えられます。

本記事では、GMCの主要な機能アップデートの内容を整理し、AI表示の本格化を見据え、EC担当者がGMCで優先して整備すべきポイントを解説します。

 Google Merchant Centerにおけるアップデート内容の紹介 

 Google Merchant Center(GMC)とは 

 Google Merchant Center(GMC)は、ECサイト事業者が自社の商品データをGoogleに提供し、それをショッピング広告や無料商品リスティングといったGoogleのさまざまなプラットフォームに掲載するために活用する管理ツールです。広告を出すためだけでなく、商品の詳細情報を集約し、Google 検索結果やGoogle ショッピングなどのサービスに表示する役割も担っています。本記事では広告運用の専門知識がない方にも理解できるよう、各機能の概要と、AI表示の本格化を見据えてEC担当者が「まずやるべきこと」を中心に解説します。

動画アセット機能

機能概要

この機能は、GoogleがEC事業者の自社Webサイトや、あらかじめ設定されたソーシャルメディアのリンクから動画素材を収集し、GMC内で一元管理できる機能です。さらに、GMCの機能である「Product Studio」によって、生成AIで動画素材を作成することも可能です。

収集・作成された動画は、Google 広告アカウントでの利用はもちろんのこと、無料商品リスティングでの表示に加えて、後述する「ブランド(メーカープロフィール)」においても活用できます。これにより、商品情報に動画というリッチなメディアを加えて、より魅力的な形でユーザーにアピールすることが可能になります。

期待効果

動画は静止画やテキストのみの情報と比較して、より多くの情報を短時間で伝えられるため、ユーザーの目を引き、興味を喚起する効果があります。ブランド名や商品名で検索された際、検索結果画面に動画が表示されることで、検索面での視認性の向上が期待できます。(なお、オーガニック検索結果における動画表示は、2025年12月現在、日本での具体的な表示状況は確認されていません。)

現時点(2025年12月)では、AIモードでの動画アセットの活用については直接的に明言されておりません。しかし、商品情報と動画が紐づけられることで、将来的にAIが表示する比較情報や商品紹介において、動画がリッチなコンテンツとして提供される可能性は十分に考えられます。これにより、ユーザーの理解が深まり、クリック率(CTR)や購入率(CVR)などの指標に好影響を与える可能性があると推測されます。

まずやるべきこと

この動画アセット機能を最大限に活用するために、まずは自社の公式SNSアカウントをGMCに紐づけ、Googleが正規の動画や画像を収集できる状態にしておくことが重要です。これにより、手間をかけずに最新の動画コンテンツをGMCに反映させることができます。設定はGMCの管理画面から「設定」>「ビジネスの情報」>「お店サービスの詳細」へと進むことでおこなえます。

図1:ソーシャルプロフィールの設定画面。4つまで選択可能。
画像引用:Google Merchant Center

参考:Merchant Center の動画アセットについて(https://support.google.com/merchants/answer/16488999?hl=ja
参考:Merchant Center にソーシャル プロフィールを追加したい(https://support.google.com/merchants/answer/13070155?sjid=9891940629987419955-NC

ブランド(メーカープロフィール)機能

機能概要

「ブランド(メーカープロフィール)機能」は、2025年12月時点で早期アクセスとして提供されており、利用対象外のアカウントでもGoogleに申請することで利用できる可能性があります(ただし、審査や提供状況は変動することがあります)。

この機能の特長は、ユーザーがブランド名や商品名を検索した際に表示される「インフォグラフィック」(ブランドに関する情報がまとめられた視覚的な表示)の内容を、ブランド側で詳細に管理できる点です。具体的には、このインフォグラフィックに表示される画像、動画、ビジネス情報、説明文などが管理可能です。

画像は自社Webサイトから自動取得されるほか、GMCに直接アップロードすることも可能です。また、ブランドイメージに合わない画像や、表示したくない画像を非表示設定できるため、視覚的な一貫性を保つことができます。
説明テキストに関しても、Googleによる自動収集、AI生成、ブランド担当者による手動設定の3つのオプションから選択できるため、内容の精度とコントロールのバランスを取ることが可能です。

期待効果

利用シーンを示す画像や動画を掲載することで、ユーザーは検索結果画面でブランドや商品の世界観を瞬時に理解し、より深く関心を持つきっかけとなります。インフォグラフィックに表示される情報を自社で制御できるため、ブランドイメージの一貫性を保ち、誤解の防止につながる重要な機能といえます。

2025年12月現在、AIモードにおいて、このブランド(メーカープロフィール)のコンテンツがどの程度活用されるかは明確には言及されていません。しかし、ブランド情報や商品の利用シーンを示す画像・動画などを公式データとしてGMC上で定義しておくことは、将来的に生成AIがそれらの情報を参照する際の「一次情報」としての質向上に寄与します。

まずやるべきこと

早期アクセスアカウントの対象外の場合、Google側への利用申請を検討しましょう。
また、ブランドイメージを最大限に引き出すための高品質な画像や動画素材を事前に準備しておくことも重要です。動画アセットの整備も忘れずにおこないましょう。
設定は、GMCの管理画面から「マーケティング」>「ブランド」へと進むことでおこなえます。図2:ブランド(メーカープロフィール)機能の概要画面 メーカープロフィールは特権管理者のみ設定が可能。 
画像引用:Google Merchant Center

参考:Merchant Center でのブランド管理 (https://support.google.com/merchants/answer/15575415?sjid=9891940629987419955-NC

商品の購入手続きリンク機能

機能概要

この「商品の購入手続きリンク機能」は、Google 広告や無料商品リスティングに表示される商品をクリックした際に、通常のランディングページ(商品詳細ページ)を経由せず、直接、購入手続き画面に遷移するよう設定することができる機能です。

この機能を有効化するには、主に2つの方法があります。一つは、GMC管理画面で、商品IDなどを自動的にURLに埋め込むための「URLテンプレート」(例:https://www.example.com/checkout?sku={id})を設定する方法、もう一つは商品データフィードの属性に『checkout_link_template』を追加し、商品ごとに異なる購入手続きリンクを指定する方法です。

ただし、Webサイトでの商品詳細ページ以降の購入フロー(カートページなど)で商品ごとにURLが生成される仕様でない場合、この機能の適用が難しい場合があります。そのため、導入の際に購入フローのURL仕様を十分に確認した上で有効化することをおすすめします。

なお、無料商品リスティングでこの機能を利用して商品が掲載された場合、ユーザーには「サイトを見る」「今すぐ購入」の2つの選択肢が表示されます。図3:商品の購入手続きリンク機能
画像引用:Google, Merchant Centerヘルプ (https://support.google.com/merchants/?hl=ja#topic=12158920)

期待効果

CTR/CVRなどの改善を図ることができる可能性があり、即購入導線に誘導できます。

近年、テクノロジーの進化により、さまざまなプラットフォームで「購入導線を短くする」流れが強まっています。例えば、競合サービスであるChatGPTのショッピング機能では、AI上で即座に決済が完了するような『Instant Checkout』に近い体験が一部で提供されています。このような状況を鑑みると、GMCの『購入手続きリンク』機能は、将来的にGoogle 検索の生成AI表示において、購入体験をさらにシームレスにするために活用される可能性が高いと考えられます(現時点では、AI表示での具体的な反映範囲は未確定です)。

まずやるべきこと

この機能の導入にあたり最も重要なのは、自社Webサイトの購入フローが、特定の商品の購入手続きを直接開始できるURL(パラメータなど)をサポートしているかを確認することです。例えば、商品IDやSKU(在庫管理単位)をURLに含めることで、その商品の購入手続き画面へ直接遷移できる設計になっているかを確認しましょう。この仕組みがなければ、GMC側でURLテンプレートを設定することはできません。

設定は、GMCの管理画面から「設定」>「ビジネスの情報」>「購入手続き」の順に進むことでおこなえます。図4:購入手続き設定の画面 画像引用:Google Merchant Center

参考:商品の購入手続きリンクを追加する(https://support.google.com/merchants/answer/13945960?hl=ja)

AIモードの本格化に備え、Google Merchant Centerでおこなうべきことは?

 AIモードでショッピング検索行動はどのように変化するか

すでにChatGPTのようなAIチャットサービスでは、ショッピング検索が導入されており、ユーザーの質問に対して商品を個別におすすめし、比較・検討に必要な情報をまとめて提示する形式が一般化しています。ユーザーとしての感覚でいえば、おすすめ商品や人気商品を比較検討する際に、複数のWebサイトを回遊する手間が省けるという点で、利便性は高いと感じています。

広告の観点でいえば、AIの回答内で比較・検討が完結し、ユーザーが外部サイトを訪れることなく購買意思決定に至る『ゼロクリック検索』の増加が予測されます。これは、AIの提示する候補に入らない商品やブランドは、ユーザーからの認知機会を失うリスクがあることを意味します。

GMCやGoogle for Retailから提供される構造化された商品情報は、通常のWebクローリングで収集される情報に比べ、より詳細かつリアルタイムなデータとして生成AIに活用されるようになります。したがって、EC担当者には今後、以下のような対応を求められるようになると考えられます。

フィードやアカウントの設定の重要性の向上

生成AIが商品の特性や魅力を正確に理解し、ユーザーの検索意図に合致した商品をレコメンドするためには、フィードデータの品質と充実度がこれまで以上に重要になります。商品の個々のスペックがAIによって詳細に比較される機会が増えるため、フィードにどの情報(色、素材、サイズ、機能など)まで含めるか、また、魅力を最大限に伝える画像や動画を採用できるか、きめ細やかな情報提供が求められるようになります。

競争軸の激化

AIは商品本体の魅力だけでなく、価格、在庫状況、配送サービス、返品ポリシー、ユーザーレビューといった販売者側の提供要素も総合的に評価し、購買決定要因として比較しやすくなります。もしこれらのサービス内容が競合他社と比較して顕著に劣っている場合、AIによるレコメンド対象から外れ、ユーザーに選択されにくくなる可能性が高まります。単に商品を羅列するだけでなく、「このショップで購入する理由」を明確に示せるかどうかが、今後の競争における重要なポイントとなるでしょう。

まずは「ショップの品質」を見直そう

上述したAI検索によるショッピング行動の変化を踏まえ、EC担当者が今すぐ取り組むべきことの一つが、Google Merchant Center(GMC)内で確認できる「ショップの品質」指標の向上です。これは、Googleがユーザーに優れた購入体験を提供できるショップを評価するための仕組みであり、検索結果にも反映される重要な要素です。評価が高いショップには「優良ショップ」バッジが付与されることで、ユーザーからの信頼獲得にも繋がります。
「ショップの品質」は、下記の4つの要素で構成されており、それぞれ同業種の競合他社と比較したスコア(低い/中程度/良い/とても良い/優良)をGMC管理画面で確認可能です。

図5:GMCの「ショップの品質」画面
画像引用:Google Merchant Center

参考:ショップ品質プログラムについて ( https://support.google.com/merchants/answer/14261098?hl=ja

各要素の詳細は以下の通りです。

配送サービス

アカウント側で設定できる「送料と返品」において、お届けにかかる日数や送料自体の金額などが比較対象となります。

返品サービス

返品自体を受け付けているか、返品可能な日数や手数料などが比較対象となります。

ブラウジング エクスペリエンス

Webサイトの速度、画像の掲載状況(枚数、解像度)が評価対象となります。

購入エクスペリエンス(日本は対象外)

GMCで設定できるプロモーションの承認率および、利用可能な電子ウォレットの種類が該当します。

販売者評価

レビュー情報などによるショップ/商品への評価です。日本ではレビューフィードを登録するか、Googleカスタマーレビューを導入することでレビュー表示を行うことができます。

 参考:ショップの評価について (https://support.google.com/merchants/answer/190657?sjid=13748777825220269737-NC )

これらの「ショップの品質」の向上は、ユーザー体験を高めるだけでなく、Googleが検索結果にショップや商品を掲載する際の指標としても機能します。したがって、無料商品リスティングの掲載機会や、Google 広告の配信優先度、さらには将来的なAIによる商品レコメンドの対象となるかにも影響を及ぼす可能性が高いと考えられます。
配信の優先度に影響する可能性が高いと考えられます。

特に配送サービスや返品サービスに関しては、フィード項目側でも設定可能ですが、その設定自体が見逃されてしまうことも少なくありません。まずは自社Webサイトで提供している情報を精査し、GMCで適用できる設定や機能がないかあらためて検討しましょう。そして、可能な限り正確で魅力的な情報をGoogle側に提供していくことが重要です。

まとめ

今回のGoogle Merchant Center(GMC)のアップデートは、AIを活用した検索体験において表示される情報の質を高め、商品やブランドの「公式データ」を整備することが主な狙いであると考えられます。

これらの機能強化は、広告運用の有無に関わらず、無料商品リスティングやブランド表示の質向上にも寄与するため、すべてのECサイトにとって優先度の高い取り組みとなるでしょう。

特に本記事で紹介した「動画アセット」「ブランド(メーカープロフィール)」「購入手続きリンク」は、検索結果での商品の見え方や購入導線に直接的な影響を与える重要な機能です。現時点では日本での提供状況が機能ごとに異なる場合があるため、まずは利用可能な範囲から着手し、実際の表示や導線をテストしながら段階的に整備を進めることを推奨します。

※本記事は、Google Merchant Centerに関する2025年12月執筆時点の情報に基づいています。
※GoogleおよびGoogle Merchant Centerは、Google LLCの商標または登録商標です。

この記事の執筆者

荒井 祐貴のプロフィール写真

荒井 祐貴

レコード会社でのECサイト運用経験を経て、2015年に株式会社アイレップ(現 Hakuhodo DY ONE)に入社。SEOやECサイト運用に精通し、特にタグとフィードの専門家として、大規模なフィード広告運用におけるデータ処理や計測環境の整備を牽引。現在は、フィード領域の運用改善と品質向上を推進しながら、スペシャリスト育成に向けた研修やナレッジ展開に尽力している。生成AIやDifyといった最新技術にも深い関心を持ち、趣味はアニメとゲーム。

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