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流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

執筆者
日経BP広告チーム
この記事は約1分で読めます

メディア環境の変化に伴い、テレビCMにもより精緻な効果検証と最適化が求められている。そうした中、日本テレビとHakuhodo DY ONEは、テレビCMをデジタル広告のように運用できる仕組みを構築。「しゅふJOB」を運営するビースタイルグループはこの運用型テレビCMの仕組みを活用し、番組単位での出稿制御や入札調整を通じて、サイト流入単価を約22%改善した。運用する広告メディアへと進化しつつあるテレビCMの最前線について、ビースタイルグループ、広告戦略を担うグローバーズ、「WISE Ads」を展開するHakuhodo DY ONE、そして日本テレビのキーパーソンが語り合った。聞き手は、日経クロストレンド発行人の勝俣哲生。

協力:日本テレビ放送網

※本記事は2026年6月19日に日経クロストレンドに掲載した広告記事を転載しています。
 元記事:https://xtrend.nikkei.com/info/09/00070/060800133/

テレビCMを“運用するメディア”へと変える2つのプラットフォーム

── テレビCMの買い付けや運用に大きな変革をもたらした、日本テレビの「Ad Reach MAX」。その概要や仕組み、提供サービスについて教えてください。

弘田(日本テレビ) 「Ad Reach MAX」は、日本テレビが独自に開発した地上波テレビCMのオンライン取引プラットフォームです。最大の特徴は、これまで視聴率を指標としていたテレビCMを、デジタルと同様のインプレッションで取引できるようにした点にあります。そのインフラを活用したサービスとして、「スグリー」や「AdRM-EXchange」を展開しています。 

01.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

日本テレビ放送網 営業局 総合営業センター アドリーチマックス班
AdRM-EXchange 事業責任者 弘田 真之 氏


── 「スグリー」はよく知られていますが、「AdRM-EXchange」とはどのようなサービスですか。

弘田 「AdRM-EXchange」は、DSPやSSPなど広告会社のプラットフォームから地上波テレビCMの入札を受けられる仕組みです。つまり、CM枠をオークション会場に出し、その会場自体を私たちが提供しているイメージです。これにより、従来は営業担当者を通じたオフラインのやり取りで買い付けていたものが、放送直前にシステムでリアルタイム入札できるようになります。

02-1.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

「Ad Reach MAX」を活用したサービスとして、予約型の「スグリー」と、
外部プラットフォームからリアルタイム入札ができるオークション形式の「AdRM-EXchange」がある


── 「AdRM-EXchange」が既存のDSPと接続されることで、どのような価値が生まれるのでしょうか。Hakuhodo DY ONEの「WISE Ads」を例に教えていただけますか。

小木曽(Hakuhodo DY ONE) 「WISE Ads」が目指しているのは、オフライン・オンライン問わず、正しい生活者に正しいタイミングとタッチポイントでブランドのメッセージを届けることです。その開発思想に基づき、WebからSNS、アプリ、OTT(インターネットによる動画配信サービス)、DOOH(デジタル屋外広告)といったあらゆる領域に接続していますが、リーチ力の高いテレビだけがこれまで欠けていました。そこに「AdRM-EXchange」が加わったことで、テレビも含めてインプレッションという共通指標で一元管理できるようになったのは、大きな変革だと感じています。
02-2.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

「WISE Ads」は、オンライン・オフラインをまたぐ生活者のメディア・タッチ・ポイントをデジタルによってひとつながりにする。
ラストピースになっていた地上波テレビがついに接続された


── 広告主やメディアパートナーから見ても、この変化は大きかったのでしょうか。

國府田(ビースタイルホールディングス) テレビCMとデジタルを同じインプレッション表記で比較できれば、マスとデジタルを切り分けることなく、柔軟な予算配分が可能になります。これまでのテレビCMでは放映枠の確保や調整に時間的な制約がありましたが、「スグ買える」という「Ad Reach MAX」の特性を生かせば、メディア投資判断が容易になると期待しています。

03.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果ビースタイルホールディングス 執行役員 デジタルマーケティング管掌
 しゅふJOB応募獲得戦略統括 國府田 嘉昭 氏


吉田(グローバーズ) 
私たちはビースタイルグループ様と一緒に、コミュニケーションパートナーとしてメディアプランから効果分析までをチームで担当してきましたが、「テレビCMをデジタルと同じように評価したい、同じ指標で運用したい」という声はずっとありましたね。

── 同じ指標というのは、インプレッションだけではなくでしょうか?

國府田 はい。例えば、指名検索がどれくらいリフトしているかという指標でも、テレビはこの単価、デジタルはこの単価、と共通の軸で比べられるのが理想です。同じ基準で比べられてこそ、正しい意思決定ができると思っています。

小木曽 「WISE Ads」が目指す世界は、まさにそこです。現状のテレビCMの放映システムでは完全なデジタル化はまだ難しいですが、様々な事例を増やしてノーム値を蓄積し、拡大推計のロジックなども用いながら、隔たりのない指標を提供していきたいと考えています。

02.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

Hakuhodo DY ONE データソリューション本部 メディアビジネス局 GTM推進部 部長 小木曽 翼

4週間のPDCAで実現した、サイト流入単価22%の改善

── ビースタイルグループのテレビCM戦略と、これまでに抱えていた課題についてお聞かせください。

國府田 当グループでは2010年より、主婦(夫)特化型の求人情報ポータルサイト「しゅふJOB」を運営しています。その指名検索数を最大化するという目的で、2023年9月よりテレビCMを開始しました。私たちは最初から運用型のマインドで取り組んでいて、どの局や時間帯、番組ジャンルが良いのかなどを、「サイト流入単価」で管理していました。その結果、効率の悪い時間帯なども見えてきたのですが、出稿枠からそれを除外したいと思っても、従来は広告会社への交渉を通じた手段しかありませんでした。評価はできているのに、買い付けをコントロールできない。この点に一番の課題を感じていました。

── そうした課題感を踏まえて、今回の施策はどのように始まったのでしょうか。

山根(Hakuhodo DY ONE) まず昨年の夏に、「スグリー」のインプレッション予約型をお試しいただくところからスタートしました。ビースタイルグループ様のデータから、日中の昼番組が特に効率が良いと分かっていたので、そこに絞って買い付けましょう、という提案です。CPM(インプレッション単価)は通常のTVスポットCMより若干上がりますが、効果の高い時間帯に絞れば全体の獲得効率が上がると考えました。

05.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果Hakuhodo DY ONE AaaSビジネス推進本部 山根 茉莉子


國府田 我々はサイト流入単価を「CPM×サイト流入効率」で算出しています。仮にCPMが110%に上がっても、セッション効率が140%になれば全体としてセッション単価が22%改善するという指標です。その点で今回のシミュレーションは理に適っており、実際に通常のスポット比で24%の改善が見られました。

── その手応えもあって、今度は「WISE Ads」の活用に踏み切ったわけですね。

國府田 「スグリー」の予約型でも一定の成果は出ていたので、そのまま比率を上げていくという選択肢もありましたが、「さらに粒度を細かくしたらどうなるのか」も検証してみたいと考えました。ターゲットや時間帯で絞る予約型に対し、「WISE Ads」は番組をピンポイントで狙えます。いろいろな条件を掛け合わせれば、CPMが10~20%上がってもそれを上回るセッション効率が得られると見て、2026年1月の施策から運用を開始しました。

吉田 昼時間帯の中でも特に良い番組を選べたり、番組と番組の間ではなく番組の放送時間の中で流せたり、1つのCM枠の最初に流せたり、通常スポットの線引きと被らない番組を選べたりと、かなり細かく指定できる点も魅力でした。これなら、スグリー予約型と同程度のCPMでより高い獲得効率が見込めるだろう、という期待もありました。
04.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

グローバーズ プランニング統括執行役員 コミュニケーションコンサルタント 吉田 忠彦 氏

── 実際の運用はどのように進められたのでしょうか。

山根 4週間のスパンで、前半2週間に検証を行い、後半で最適化していく形を取りました。1週目は、CPMをどこまで下げられるかの検証です。「WISE Ads」はオークション入札なので、「どの水準で落札できるのか」を把握することが重要でした。キャンペーン期間中の市況感や入札競合を踏まえた価格感、底値を探った上で、2週目は最適CPMで希望番組で落札し、放映を確保していきました。

── 結果として、どの程度の改善が見られましたか。

山根 最も効率の良い番組に入札を集中し、その中でも優先する曜日や素材の割り付け比率を調整することで、1・2週目と比べて最終週には78%までサイト流入単価を抑えられました。つまり、22%の改善です。

國府田 これは、大きく2つの要因が噛み合った結果だと考えています。1つは、2年半にわたり蓄積してきた「どの番組・時間帯でターゲットが動くか」というデータ。もう1つが、そのインサイトを番組単位の買い付けに直接反映できる「WISE Ads」というプラットフォームの存在です。深夜帯や特定ジャンルを除外しつつ、「平日の日中帯」の中でも高パフォーマンスな番組へ寄せた結果、CPMの変動を上回る形でサイト流入率が上昇し、大幅な改善を実現できました。

山根 短いスパンでPDCAを回せたことも、スピーディーな改善に寄与しています。「WISE Ads」では、前日の結果を踏まえて翌日の入札やCPMを調整するなど、日次での最適化が可能です。こうした積み重ねが、全体のパフォーマンス向上につながりました。

── 社内での反響はいかがでしたか。

國府田 経営陣からは、「テレビCMでここまでサイト流入単価をコントロールできるのか」と大きな驚きと評価を得ています。昨年の「スグリー」でも効率が良く、今回の「WISE Ads」でも同様に改善が見られたので、これは偶然ではなく、再現性の高い手法だということも実感できました。さらに今回は、サイト流入単価は通常のスポットCMと比べて24%抑えられ、関東エリアの他局平均と比較しても20%減となりました。この結果は、「しゅふJOB」の集客効率の高さを掲載企業に訴求する上でも、十分な説得材料になると考えています。

02-3.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果-1

放送時間帯のみならず、出演者情報や天気情報に基づく入札設定が可能

エリアとデータ基盤の進化で広がるテレビCM運用の「手札」

── 今回の成果を受けて、テレビCMの予算配分の方針は変わっていきそうですか。

國府田 確実に変わると思います。日本テレビさんへの予算配分は、もともと100%通常スポットでしたが、昨年夏にはスポット67%に対して「スグリー」33%、今回の施策ではスポット50%:「WISE Ads」50%に上げています。次のフェーズではWISE Adsの比率をさらに引き上げ、予算の約67%を「WISE Ads」に充てる予定です。とはいえ、すべてを効率重視にするわけではありません。テレビCMの魅力は、やはりリーチと認知の広さにあります。効率を高める領域と、広くリーチを取りにいく領域のバランスは引き続き重要だと考えています。

── 次のフェーズでは、どのようなチャレンジを考えているのでしょう。

吉田 今回のように効率の良い領域が見えてくると、そこに寄せたくなる一方で、投資を増やし過ぎると効率が落ちるリスクもあります。その閾値(しきいち)を見極めながら、別の番組にチャンスを広げていく、というのが次のステップになると思います。

小木曽 今回は番組単位での指定でしたが、今後はより精度の高いターゲティング手法を探っていきたいと考えています。例えば、同じ「金曜ロードショー」でもアニメと洋画では見ている視聴者層が全く異なりますし、ドラマやバラエティも出演者や放送回によって変わってきます。そうした粒度でターゲティングのオン・オフを切り換えられるのも、「WISE Ads」の強みです。

06.流入単価を22%改善 ビースタイルグループが証明した運用型テレビCMの効果

── 最後に、それぞれのお立場から今後の展開をお聞かせください。

弘田 「Ad Reach MAX」では、今後も随時エリアを拡大していく予定です。10月からは系列の読売テレビや中京テレビの在庫も扱えるようになりますし、将来的には他局や他エリアとも連携して、横断的にリーチを最適化できる環境を目指しています。さらにその先では、AIエージェントとの連携やデータ基盤との接続も視野に入れ、テレビ広告のあり方自体を変えていきたいと考えています。

山根 今回の検証で、我々がこれまでデジタルマーケティングで培ってきた運用力をテレビ領域にも活かし成果を上げることができると分かりました。この運用型テレビCMでの運用・成果改善実績が着実にたまってきておりますので、ビースタイルグループ様に対し今後も細かな運用調整と改善提案を行い、成果最大化につなげたいと思っています。また、エリア拡大は、我々にとっても大きなチャンスです。現在は関東での運用が中心ですが、今回「WISE Ads」で得られたナレッジを、サイト流入単価というKPIにおける1つの型として他のエリアにも展開していきたいと思います。

小木曽 エリアごとの最適化や、他メディアとの横断分析など、「WISE Ads」の強みを拡張していく余地はまだまだあると思っています。今後も引き続き、日本テレビさんとの連携を通じて得られるデータをもとに、セグメントの精度や分析機能をさらにアップデートしていきます。

國府田 エリアが広がり、使えるデータや手法も拡大すれば、それだけ打ち手が増えるので、クライアントサイドとしては非常にありがたいです。今後は認知目的だけでなく、特定エリアや特定プロジェクトでの獲得施策といった用途でも、テレビCMをより有効に使えるようになるでしょう。今回の取り組みを通じて得られた知見をベースに、新しい「手札」の使い方を検討していきたいですね。

弘田 「Ad Reach MAX」の挑戦は、まだ始まったばかりです。今回、先行事例として飛び込んでいただいたビースタイルグループ様の取り組みで得られた知見は、業界全体の財産になっていくはずです。そこで生まれたニーズを機能やデータに反映しながら、「Ad Reach MAX」をさらに進化させていきたいと考えています。今後も皆さまと共にこのプラットフォームを育てていく中で、地上波テレビCMの価値を拡張してまいります。


取材を終えて

デジタル広告に慣れ親しんだマーケターほど、テレビCMへの出稿に二の足を踏む傾向があります。費用対効果が「なんとなくしか分からない」というイメージが、その最大の理由でしょう。

しかし今回取材したビースタイルグループの取り組みは、そうした先入観を覆すものでした。同社はテレビCM開始当初から「サイト流入単価」でPDCAを回し、効果を徹底的に可視化していました。ただし、課題は分析力ではなく、「評価はできているのに、買い付けに反映できない」という実行面のギャップ。日本テレビの「Ad Reach MAX」と「WISE Ads」の組み合わせは、そのギャップを埋める手段として機能し、4週間でサイト流入単価22%改善という具体的な数字につながりました。

注目すべきは結果だけではありません。この成果を受けて、通常スポットCM枠100%だった予算配分が、次フェーズでは「WISE Ads」が約67%を占める構成へと大きくシフトさせると言います。厳しい費用対効果の目線を持つマーケターが、予算配分すら変えた──この事実は衝撃でした。

デジタル広告の顧客獲得単価が高騰する中、新たなメディアミックスを模索しているマーケターにとって、今回のビースタイルグループの事例は参考になる点が多いはずです。

日経クロストレンド発行人
勝俣 哲生 

この記事の著者

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日経BP広告チーム

「マーケティングがわかる 消費が見える」
マーケティングとは、商品やサービスで顧客のニーズを満たし、顧客が抱える問題を解決すること。すなわち、顧客相手のビジネスである限り、携わるすべての人が「マーケター」です。
日経クロストレンドは2018年4月に創刊しました。どのように顧客に寄り添い、課題解決をしていけばいいのか。マーケターのためのデジタル戦略、消費者分析、未来予測など、多彩なテーマの記事を読者にお届けすることで、あらゆるマーケティング活動、イノベーション活動を支援します。

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