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業界に先駆けてAI検索の研究に取り組み データに裏打ちされた独自の知見からAIO戦略を導き出す

執筆者:
Web担当者Forum
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株式会社Hakuhodo DY ONE
オウンドソリューション本部
ONE-AIO Lab R&D局 局長/ONE-AIO Lab 所長
登 章良氏

「自社ブランドはAIに紹介されますか」と問われ、自信を持って「Yes」と答えられる企業はどれほどあるだろうか。Webマーケティングの成否は、もはやテキスト検索の順位だけで決まらない。AIが生成する回答で自社ブランドが言及・評価されるかまで見据えたマーケティング戦略が求められている。業界黎明期からの四半世紀にわたる調査研究と博報堂DYグループの総合力を土台に、デジタルマーケティングの最適化に取り組む株式会社Hakuhodo DY ONE。同社でAI Optimization(AIO)の研究開発組織「ONE-AIO Lab」を率いるキーパーソンに話を聞いた。

※本記事はWeb担当者Forumより転載しています。

業界他社に先駆けAI検索を研究し、「AIO診断サービス」を始動

AI検索の広がりにより、Webマーケティングの前提が大きく揺らいでいる。AIの回答だけでインターネット利用者(以下、ユーザー)のニーズが満たされる場面が増えつつある。業界やクエリによっては、「ゼロクリック検索」の増加やクリック率(CTR)の低下、自然検索流入の減少といった事態が起きている。

日本の広告業界でこの変化への対応にいち早く乗り出したのが、博報堂DYグループでデジタルマーケティング事業を担うHakuhodo DY ONEだ。同社で「ONE-AIO Lab」の所長を務める登氏は、次のように語る。

「当社では、国内でAI検索への対応が本格化する前の2023年から、AI Optimization(AIO)の研究開発に着手しておりました。ChatGPT・Geminiをはじめとする生成AIプラットフォームの台頭に合わせ、各AIモデルにおける回答傾向と特定指標の相関性について多角的な調査を実施し、そこで培った知見を活かし、2025年3月に『AIO(AI最適化)診断サービス』の提供を開始し、同年10月にAIOに特化したONE-AIO Labを設立しました」(登氏)

AIOの診断から施策運用までトータル支援

AIO診断サービスは、AIOのコンサルティングと施策運用支援をセットにしたものだ。従来のSEOコンサルティングを内包しつつ、AI検索に最適化したマーケティング戦略を提案し、運用まで支援する。

内容は「初期フェーズ」と「運用フェーズ」に分かれ、初期フェーズでは、AIO診断として、クライアント企業と競合を対象に「3C(顧客・競合・自社)分析」で現状を把握する。具体的には、ユーザーの検索意図を踏まえて評価用プロンプトを設計し、調査を実施する。そのうえで、AI検索結果における対象ブランド・サービスの言及量、Webサイトの引用状況、言及内容のポジティブ/ネガティブ傾向などを分析する。さらに、AIの思考プロセスやサブクエリに関するデータも収集・分析し、課題を抽出する。

続く運用フェーズでは、抽出した課題の改善提案から施策実装の支援、モニタリングまでを伴走型で行い、成果に応じて追加提案を重ねる。

同社ではAI検索に関する主要な施策として、以下を掲げている。

①デジタルPRの文脈も含めた、ブランド認知・言及の拡大
②AIのWeb巡回・参照(ブラウジング)機能を考慮した従来型SEOの実施
③AIが読み取りやすいサイトを構築する「AIフレンドリー対応」

これらに関する表層的な提案だけではなく、より踏み込んだ調査に基づいて施策を立案・実行する。具体的には「AI検索やAI回答で引用・参照されやすい形式のコンテンツ設計」や「思考プロセス」「クエリファンアウト(サブクエリ)」の傾向など多角的に分析している。

Hakuhodo DY ONEのAI検索における調査例

注目すべき1つ目は、AI検索におけるブランド言及とサイテーションの調査だ。ここでいうサイテーションとは、Web上のメディアにおけるブランド言及量を指す。Hakuhodo DY ONEの調査によれば、Web上のメディアでのブランド言及量とAI検索での言及量には正の相関が見られる傾向にあるという※1。この分析により、言及量を増やすべきメディアが(ブランドごとに)見えてくる。

webtan-aio-strategy_01図1:AI検索におけるブランドメンションとWeb上のサイテーションの相関性(概要)

※1…特定業界の一般的なKnow・Do・Goクエリを含む調査例。評価用プロンプトの種類やクエリの性質(指名/非指名)によっては、相関の強弱が変動する点に注意。

2つ目は、思考プロセス※2の分析だ。同じプロンプトでも、AIモデルにより回答の思考プロセスは異なり、参照する情報源や検索の優先順位も変わる。

「思考プロセスの分析は、当社がこだわりを持つ取り組みです。対象プロンプトとその回答結果のデータだけに閉じず、その回答が出力されるまでの過程に当たる、主要AIモデルの思考プロセスをAPI経由で取得・分析し、回答生成の傾向を可視化します」(登氏)

また、登氏によると、AIの思考プロセス上で「特定ブランドの除外」も確認されているという。誰もが知る大手ブランドでも、AIの回答から除外されてしまうことがあり、その要因を分析するノウハウがHakuhodo DY ONEには蓄積されている。

登氏は「思考プロセス上で推薦候補や参照対象から除外されたブランドは、Webサイトや記事を作り込んでも成果につながらない可能性があります。質問に対する回答内容(結果)だけでなく、その結果に至るプロセス(過程)を調査したうえで要因を解き明かすことが、改善施策の精度を高めるうえで重要であると考えます」と語る。
画像1-4図2:思考プロセス分析例(特定ブランドを回避する思考プロセス)

※2…本記事における「思考プロセス」とは、各AIプラットフォームのAPIを通じて取得可能な思考・リーズニングに関する出力情報を指す。取得可能な情報の範囲・形式は、AIモデルおよびAPI仕様によって異なる。

四半世紀の研究とグループ総合力が支える圧倒的な強み

登氏は、AIO診断サービスなど、同社が提供するAIOソリューションの強みを次の3点にまとめている。

第一の強みは、圧倒的な研究量・調査量だ。Hakuhodo DY ONEは、博報堂DYグループの一員として、1997年からデジタルマーケティング事業を展開してきた株式会社アイレップと、インターネット広告会社のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(DAC)との経営統合によって2024年4月に設立された企業だ。前身2社の頃から四半世紀以上にわたってSEOを研究し、10年以上前から検索結果上のあらゆるプレーヤーの順位動向を、国内外別・業界別にモニタリングしてきた。この膨大な調査研究で培ったSEOの知見・ノウハウが、AIOソリューションに生かされている。

第二の強みは、博報堂DYグループの総合力だ。この力を背景に、インターネット広告展開に特化した施策提案・遂行支援から、TV CMを含む動画起点の効果分析まで、多彩なサービスを提供できる。

「クライアント企業は、ONE-AIO Labを起点に、博報堂DYグループ全体のアセットやノウハウを活用いただけます。その幅広さは、我々のAIOソリューションの大きな強みです」(登氏)

第三の強みは、専門性の高い組織との密接な連携だ。例えば、総合PR会社の株式会社オズマピーアールとはPR視点でのAIO評価指標(KPI)を共同開発し、株式会社スパイスボックスとはAI検索と親和性の高いYouTube動画マーケティングを共同研究している。
 「デジタルマーケティングの領域では、動画・EC・PRなど各領域で強みを持つ専門家集団との連携体制を強化しています」(登氏)

各業界への導入事例が証明するAIOの手応え

AIO診断サービスの導入企業では、各業界で具体的な改善事例が生まれている。

あるEC事業者は、同サービスを活用し、AIが情報を構造・文脈の両面から正しく理解するための情報設計を中心としたAIO施策に取り組んだ。その結果、施策開始2週間後には、モニタリング対象プロンプトでChatGPTのショッピング枠に自社商品が表示されるようになったという。

また、ある小売業者はAIO診断サービス採用から4カ月で、GoogleのAI Overviews表示枠の引用リンク数を導入前から235%増加させた。

「もっとも、ゼロクリック検索が一般化し、AI検索経由での流入が限定的である現在においては、AI回答内での露出や引用数の増加というものが、飛躍的な流入増加や成果改善に直結するほど単純な話ではありませんが、今の段階から検証データとしてAIOの成功事例を着実に積み上げている状況です。その実績があるからこそ、蓋然性の高い施策を提示することが可能となります。」(登氏)

「A2A」時代を見据えた次世代AIOソリューションの提供も視野に

今日のAIOは、AI検索での表示が重視されている。ONE-AIO Labは、その先を見据える。1つは、ブランド側のAIエージェントがユーザーの購買プロセスを能動的・自律的に支援する「エージェンティックコマース(Agentic Commerce)」の世界だ。さらにその先には、ユーザーの代理として行動するAIエージェントと、ブランド・事業者側のAIエージェントを含む複数のエージェントが連携・対話する「A2A(Agent to Agent)」の世界がある。

 「A2Aでは、AIエージェント間のやり取りで、商品に特定機能があっても、その情報が適切に設計・整備されていなければ、AIに機能が『ないもの』として扱われるリスクがあります。誤った情報がユーザーに届けば、ブランドの毀損や購買機会の損失につながりかねません。そうした将来を見据えながら、AIOソリューションの拡張・最適化を図っていく考えです」(登氏)

この考えを形にしたのが、2026年2月に提供を開始した「ONE-AIO Lab for ECommerce」だ。これは、Agentic Commerce時代・A2A時代を見据えたサービスであり、特定の商品について、AIを使ったユーザーのショッピング体験を分析して課題を突き止め、改善し、AI上での商品の「認知」から「購買」までをシームレスにつなぐソリューションである。

AI検索の表示改善として、現在GEO、LLMO、AEOなどの複数の表現で語られているものの、同社ではユーザーが見るAI検索結果での表示改善にとどまらず、こうした未来への対応を見据えた総合的なソリューションとして「AIO(AI Optimization)」を掲げている。ONE-AIO Lab、ならびにHakuhodo DY ONEはこれからも、AIによって加速するデジタルマーケティングの変化をいち早くとらえて対応し、マーケティングの変革をリードしていく構えだ。

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企業ホームページ活用とデジタルマーケティングの2軸のテーマで解説記事・コラム・ニュースなどを日々提供するオンラインメディア。扱うテーマは「Webサイト構築・運用」「SEO」「リスティング広告」「アクセス解析」「ユーザビリティ」「CMS」「広告」「マーケティング」「ソーシャルメディア」「広報・PR」「EC」「スマートフォン」など。

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