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YouTube広告のコスト効率が20%以上改善?「共視聴」データから見直すコネクテッドテレビの真価

執筆者
假屋 魁聖
この記事は約1分で読めます

「コネクテッドテレビにおいて、共視聴を考慮して広告施策を評価できていますか?」
近年、動画配信サービスの利用拡大とともに、スマートフォンやタブレット端末だけでなくコネクテッドテレビの普及が急速に進んでいます。デジタル広告においても今や無視できない主要デバイスとなったコネクテッドテレビですが、その最大の特徴である、複数人が同じ空間で同じコンテンツを視聴する「共視聴」がもたらす広告効果について、従来の評価指標だけで正確に捉えられているでしょうか  。

実際の広告運用の現場では、ユーザーを個別に特定・ターゲティングすることが難しいため、共視聴による効果が正しく評価されていないケースも少なくありません。しかし、共視聴の価値を適切に捉え直すことで、コネクテッドテレビの価値をさらに高めることが可能です。

本記事では、当社の配信データに基づき、YouTube広告において共視聴を考慮することで「CPM(1,000回表示あたりの費用)  」や「リーチ単価」が具体的にどの程度改善し得るのかを定量的に整理します。従来の指標では過小評価されてしまう可能性もあったコネクテッドテレビの真の費用対効果を把握するための新たな視点を提供します。

共視聴の定義

共視聴とは、複数人で映像コンテンツ(テレビ番組や動画)を視聴することを指します。地上波テレビにおける一家団欒のリビングルームを想像するとイメージしやすいですが、近年YouTubeにおいてもコネクテッドテレビを通じて同様の視聴環境が広がっています。これにより、本記事のテーマであるYouTube広告での1回の広告接触が「一人」のユーザーではなく、「複数人」により視聴されるケースが同様に広がっています。

この環境の変化に対応すべく、Googleでは統計的な手法を用いた共視聴の測定がなされています。通常の「インプレッション」や「リーチ」の指標とは別に、「インプレッション数(共視聴)」「インプレッションリーチ(共視聴)」という指標で、共視聴を加味したインプレッション数やリーチ数を確認することが可能です。

しかし、実際の広告運用現場では、共視聴を考慮したインプレッションやリーチが正しく評価されていないケースも少なくありません。その背景の一つとして、共視聴ユーザーを特定することができない点が挙げられます。たしかに共視聴するユーザーをターゲティングすることは難しいです。しかし、共視聴ユーザーの価値を適切に見出すことで、コネクテッドテレビ広告の価値をさらに高めることができると考えています。

そこで本記事では、当社のYouTube広告配信データを用いて、CPM、リーチ単価といった主要指標にどのような具体的な好影響をもたらすのかを詳細に分析した結果を共有します。

ノンスキッパブル広告における、コネクテッドテレビの「共視聴」のパワー

CPM:共視聴がもたらすコスト効率の良さ

まず、ノンスキッパブル広告のCPM  を比較してみましょう。ノンスキッパブル広告とは、7秒から15秒のスキップできないインストリーム広告を指します。以下データは当社が2025年10月1日から12月31日までのDV360経由のYouTubeノンスキッパブル広告の配信実績に基づき算出しています。表では、コネクテッドテレビにおいて共視聴を考慮しない場合のCPM(以下「CPM(通常)」)を1,000円と仮定した場合の各デバイスのCPMと、共視聴を考慮したコネクテッドテレビのCPMを表しています。

この場合、共視聴を考慮したCPM(共視聴)は774円となり、CPM(通常)と比較して1インプレッションあたりの配信コストが23%程度低下することがわかります。他のデバイス(デスクトップ, スマートフォン, タブレット)では共視聴の概念がないため、CPMは変動しません。

この結果から、コネクテッドテレビは他のデバイスとは異なり、共視聴という特性を考慮することで、実質的に低単価で配信することができることが示唆されます。

 

CPM(通常)

CPM(共視聴)

コネクテッドテレビ

¥1,000

¥774

デスクトップ

¥1,110

¥1,110

スマートフォン

¥1,186

¥1,186

タブレット

¥1,028

¥1,028

表1:ノンスキッパブル広告のCPM

リーチ単価:広範なターゲットへの効率的な到達

次に、広告がどの程度の費用で、どれだけの人に到達できたかを示す「リーチ単価」に注目します。以下の表は、コネクテッドテレビにおいて共視聴を考慮しない場合のリーチ単価(以下「リーチ単価(通常)」)を2円、フリークエンシー(以下「FQ(通常)」)を2回と仮定した場合の、各デバイスのリーチ単価とFQ、そして共視聴を考慮したCTVのリーチ単価とFQを表しています。

リーチ単価(通常)を見ると、コネクテッドテレビは他デバイスよりも高いことがわかります。これは、今回のケースではコネクテッドテレビのデバイス別の配信費用割合が75%と高く、FQ(通常)が高くなっていたことが要因だと考えられます。一般的に、配信量が多くなるほどリーチカーブの傾きは水平に近づき、リーチ効率は低下します。

しかし、共視聴を考慮したリーチ単価をみると、リーチ単価は2円から1.56円へと低下しており、より実態に即した評価のもとでは、その他のデバイスと比べても大きく高騰していない結果となりました。

 

リーチ単価
(通常)

リーチ単価
(共視聴)

FQ
(通常)

FQ
(共視聴)

配信費用割合

コネクテッドテレビ

¥2.00

¥1.56

2.00回

1.55回

75%

デスクトップ

¥1.84

¥1.84

1.65回

1.65回

7%

スマートフォン

¥1.73

¥1.73

1.46回

1.46回

14%

タブレット

¥1.47

¥1.47

1.42回

1.42回

4%

 表2:ノンスキッパブル広告のリーチ/FQと配信費用割合  

画像3リーチカーブイメージ図

Bumper広告におけるコネクテッドテレビの「共視聴」のパワー

CPM:Bumper広告でも際立つコネクテッドテレビのコスト効率

続いてBumper広告でも同様の傾向があるかを確認します。Bumper広告は6秒以内のスキップできないインストリーム広告を指します。以下の表は、コネクテッドテレビのCPM(通常)を500円と仮定した場合の、各デバイスのCPMと、共視聴を考慮したコネクテッドテレビのCPMを表しています。この場合、共視聴を考慮したCPM(共視聴)は393円となり、21%程度低下していることがわかります。

ノンスキッパブル広告と同様に、他のデバイス(デスクトップ, スマートフォン, タブレット)では共視聴の概念がないため、CPMは変動しません。

 

CPM(通常)

CPM(共視聴)

コネクテッドテレビ

¥500

¥393

デスクトップ

¥537

¥537

スマートフォン

¥492

¥492

タブレット

¥481

¥481

 表3:Bumper広告のCPM

リーチ単価:バランスの取れた配信と効率的なリーチ獲得

次に、「リーチ単価」を見てみましょう。以下の表では、コネクテッドテレビのリーチ単価(通常)を1円、FQ(通常)を2回と仮定した場合の、各デバイスのリーチ単価とFQ、そして共視聴を考慮したコネクテッドテレビのリーチ単価とFQを表しています。

Bumper広告においては、ノンスキッパブル広告のケースとは異なり、配信費用割合がコネクテッドテレビに過度に偏らず、FQの重なりも緩やかです。そのため、通常リーチ単価はノンスキッパブル広告ほど高くはありません。しかし共視聴を考慮することで、リーチ単価は1円から0.8円と20%程度低下し、Bumper広告においても、より実態に即した評価のもとでは、効率的にリーチできている結果となりました。

 

 

リーチ単価
(通常)

リーチ単価
(共視聴)

FQ
(通常)

FQ
(共視聴)

配信費用割合

コネクテッドテレビ

¥1.00

¥0.8

2.00回  

1.59回

50%

デスクトップ

¥1.01

¥1.01

1.89回

1.89回

10%

スマートフォン

¥0.93

¥0.93

1.89回

1.89回

29%

タブレット

¥0.88

¥0.88

1.82回

1.82回

11%

 表4:Bumper広告のリーチ/FQと配信費用割合

まとめ:YouTube広告戦略におけるコネクテッドテレビと共視聴の価値

今回、YouTubeのノンスキッパブル広告とBumper広告それぞれについて、当社の配信データに基づき共視聴を考慮した場合のCPMとリーチ単価について分析しました。その結果、いずれのメニューにおいても、従来の評価指標と比較して、より効率的な広告配信が可能であることが明らかになりました。

ユーザーの視聴環境が急速に変化している昨今、広告評価手法もその変化に即したものへとアップデートしていく必要があります。視聴実態に即した正当な評価をおこなうことは、将来に向けた、より本質的なマーケティング戦略の策定へとつながるはずです 。

これまでのYouTubeは、多くの人々にとって「スマホ、タブレット、デスクトップで視聴する個人向けのデジタルメディア」という認識が強かったかもしれません。しかし、コネクテッドテレビでのYouTube視聴は急拡大しており、その体験は従来のテレビと遜色ないものへと進化しています。つまり、YouTubeはデジタルメディアの枠を超え、「リビングルームの主役」として、テレビと並び立つ主要なメディアになっているのです。そうした中で、「デジタルメディアだから」という固定観念に縛られ、コネクテッドテレビ特有の「共視聴」を考慮せずに広告効果を測定し続けることは、実態との乖離を招き、最適な戦略判断を誤る原因となりかねません。

本記事で示した、共視聴を考慮した際のCPMとリーチ単価の効率改善は、コネクテッドテレビにおける共視聴が従来の「一人ひとりへのターゲティング」だけでは測れない、新たな広告価値を創出している証拠です。コネクテッドテレビでのYouTube広告を「リビング全体に語りかける広告」という新たな視点で捉え直し、共視聴がもたらす広範な影響力とコスト効率を評価することが求められています。

本記事が、コネクテッドテレビにおける共視聴という概念を再評価し、皆さまのマーケティング活動の一助となれば幸いです。

この記事の著者

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假屋 魁聖

2023年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(現:Hakuhodo DY ONE)へ入社。以来、日用品・消費財メーカーの大手クライアント向けに、YouTubeを中心とした動画広告の運用コンサルティングを手掛ける。現在はプラットフォームR&D本部 ブランドR&D局にて、YouTube・TikTok・Amazonなどのブランディング広告におけるベストプラクティスの研究開発を主導。未知の分野を切り拓き、デジタル広告の効果最大化に貢献する知見発掘に尽力している。

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