顧客体験とデータを「統合」する、次世代ロイヤルティマーケティング 〜LINEミニアプリを武器に、他社を圧倒するパーソナライズ戦略〜【セミナーレポート】
- 執筆者:
- ONEDER編集部
2026年3月11日、株式会社Hakuhodo DY ONEと株式会社SP EXPERT’S(以下、SP EXPERT’S)は、「顧客体験とデータを統合する次世代ロイヤルティマーケティング」と題した共催ウェビナーを開催しました。
LINE施策において「キャンペーンへの参加は増えているのに、リピート購買につながらない」「ポイントを配布しているが、顧客との関係が深まっている実感がない」——そのような課題を抱える企業は少なくありません。デジタル施策の多様化が進む一方で、顧客ロイヤルティの向上に課題を感じる担当者も多いのが実情です。
こうした状況の根底にあるのは、顧客との接点で得られる「体験」と、そこから取得される「データ」が有機的につながっていないという構造的な課題です。各施策が点在し、取得したデータが次のコミュニケーションに十分に活かされないケースが多く、個々の顧客に最適化された継続的な関係構築が実現できていません。
本ウェビナーでは、従来のLINEを活用した購買によるポイント付与施策では実現できない継続的な顧客関係の構築方法と、LINEミニアプリを活用したミッション型ロイヤルティプログラムによって顧客体験とデータをどう統合しマーケティング成果を最大化するかを、具体的な活用事例とともに解説しました。本記事では、ウェビナーで語られた次世代ロイヤルティマーケティングのポイントを紹介します。
【登壇者】
伊部 凜
株式会社 SP EXPERT’S
販促プラットフォーム部 デジタル販促プロデューサー
池田 諭志
株式会社Hakuhodo DY ONE
エンゲージメントソリューション本部
※本記事は、2026年3月11日に開催されたセミナーの内容をもとに、一部加筆・修正して掲載しております。
従来施策の限界と次世代の打ち手
多くの企業が直面する課題
池田:現在、生活者との接点は多様化する一方で、企業が一人ひとりの顧客理解を深め、継続的な関係性を築くことの難易度は高まっています。一時的なキャンペーンやインセンティブによって接点を創出できたとしても、それが継続的な購買やロイヤルティの向上につながりにくいケースも見られます。だからこそ、短期的な施策にとどまらず、継続的に顧客との関係性をいかに深めていくかが、今後の重要なテーマになっていると考えています。
従来のような商品告知やポイント配布も重要な接点ではありますが、それだけで顧客との関係性を継続的に深めていくことは難しくなっています。顧客の反応や関心の変化を捉えながら、次のコミュニケーションへつなげていく設計が求められています。単発の購買にとどまらず、顧客とブランドが自然に関わり続ける機会をつくることが、愛着や信頼の醸成、再購入やLTVの向上につながっていくと考えています。
株式会社Hakuhodo DY ONE エンゲージメントソリューション本部 池田 諭志
従来型ロイヤルティプログラムの限界
池田:従来のロイヤルティプログラムの限界は、大きく三つ考えられます。
一つ目は、顧客体験が単調になりやすいことです。購買時のポイント付与という仕組みはわかりやすく有効な仕組みである一方、マンネリ化しやすく、それだけでは生活者が継続的に価値を感じにくくなるケースもあります。
二つ目は、取得できるデータが限定的であることです。購買時の会員証提示だけでは、購買以外の行動や嗜好性、ブランドとの接点における反応を十分に捉えきれない場合があります。
三つ目は、データをコミュニケーションに活かすことの難しさです。分析やレポートは実施されていても、その結果を実際の顧客体験やコミュニケーションに反映し続けるには、仕組みや運用面での工夫が求められます。

さらに、顧客体験側のロイヤルティプログラムと、データ活用側のCRM(顧客関係管理)・配信の仕組みが分断されているケースも多くあります。
単発のキャンペーンで取得したデータをPDCAに活かし、次のコミュニケーションへとつなげることが重要です。
次世代ロイヤルティマーケティングの定義と実現要素
池田:次世代ロイヤルティマーケティングのポイントは、顧客の「体験」と「データ」をシームレスにつなぐ仕組みを構築することです。生活者が楽しみながらブランドと関わり続けられる多様な接点を設け、その体験から得られるデータを取得・分析して顧客理解を深め、次のコミュニケーションに活かしていく。この循環を回し続けることが、ブランドへの愛着や信頼を育むうえで重要になります。

当社グループでは、こうした考え方を実装するための選択肢として、SP EXPERT’Sの「ミッション型ロイヤルティプログラム」と、Hakuhodo DY ONEの「DialogOne®」を組み合わせた取り組みを進めています。LINEミニアプリを活用した参加しやすい顧客接点を起点に、そこで得られる行動データを顧客理解やコミュニケーションに活かすことで、企業と顧客の継続的な関係構築を支援します。
LINEミニアプリの概要と導入状況
池田:LINEミニアプリは、企業や店舗がさまざまな顧客接点においてLINE上でアプリを起動できる仕組みです。ホーム画面への追加や、NFCタグを活用した店頭でのタッチ起動など、多様な動線を構築できます。また、ミニアプリをきっかけにLINE公式アカウントを友だち追加することで、その後のメッセージ配信によるユーザーとの関係構築も可能です。ユーザーが別途ダウンロードすることなく、LINEアプリ内で利用できる機能として、LINEヤフー株式会社から提供されています。
2025年9月時点で2万5,000件を超える企業が利用しており、月間利用ユーザー(MAU)も1,680万人を超えるなど、生活インフラとして日常に浸透しています。

ミッション型ロイヤルティの仕組み
ミッション型ロイヤルティプログラムとは
伊部:現在、企業はオウンドサイトやLINE公式アカウント、各種SNSなど、多様な接点を通じて商品・サービスの情報を発信しています。一方で、接点が増えるほど施策が個別最適になりやすく、生活者との継続的な関係構築につなげるには、各接点を一連の体験として設計していく視点が重要になります。
株式会社 SP EXPERT’S 販促プラットフォーム部 デジタル販促プロデューサー 伊部 凜
ミッション型ロイヤルティプログラムは、LINEミニアプリを活用した SP EXPERT’S のオリジナルソリューションです。ブランド動画視聴、イベント来場、資料請求、商品購入といった企業のビジネス目的を、生活者に対してミッションとして提示し、楽しみながら企業へのロイヤルティを高めていける仕組みです。個別に展開されていた点の施策を、継続的な関係構築につながる「線」の取り組みへと発展させることができます。
ミッション完了ごとにポイントが付与され、貯めたポイントで特典と交換したり、ユーザーのランクが変動したりする仕組みを備えています。また、ユーザーのファネル深度(ブランドとの関係の深さ)に応じてミッション内容を出し分けることも可能です。取取得したデータは、ユーザーの同意や適切なデータ管理のもとでLINEのUIDと紐付けて活用できるため、LINE公式アカウントでの配信や自社データベースとの連携を通じて、より一人ひとりに合わせたコミュニケーション設計が可能になります。

SP EXPERT’S がこのソリューションを提供できる背景には、食品飲料・日用消費財・自動車・自治体など業種業界を問わない豊富な実績、年間100件以上のキャンペーン提供で培った販促領域の知見、そしてLINEヤフー株式会社との密な連携体制という強みがあります。
ミッション型ロイヤルティプログラムの活用事例
事例①:マインドシェア拡大をミッションで実現したハウス食品グループ「ハウスクエストワールド」
伊部:一つ目の事例は、マインドシェア(生活者の意識のなかでブランドが占める割合)の拡大を主目的とした施策です。LINE公式アカウントの開封率・クリック率の大幅な向上、そしてミニアプリ内での平均滞在時間の最大化が評価ポイントとして挙げられます。
メインメッセージは「あれも、これも、ハウスだったんだ!」です。ハウス食品グループのコミュニケーション戦略を生活者にわかりやすく浸透させることを目的としています。バーモントカレーのような代表的な商品はもちろん、飲食店向けのスパイスブランド・ギャバン、カレーチェーンのCoCo壱番屋、さらにとんがりコーンやフルーチェまで、実はハウス食品グループの商品であることを、ゲームを通じて楽しみながら知ってもらえる設計です。ハウス食品グループのバリューチェーン戦略を6つの島に見立て、各島にミッションを格納することで、生活者がブランドの世界観を自然に体験できる構造になっています。

具体的な仕組みとしては、クイズや動画視聴などのオープンミッションをクリアするとポイントが獲得でき、貯めたポイントで「ガチャ」を回すとミニアプリ内のデジタルアイテムが手に入ります。ガチャで獲得できるコレクションは、現時点で約700種類ものハウス商品で構成されており、コレクションを集める過程でブランド認知が広がるよう設計されています。また、50種類以上のアイテムを集めると景品に応募できる仕組みにすることで、ユーザーが毎日繰り返しミニアプリを訪れたくなる動機付けにもなっています。これまでのレシートキャンペーンでは購買後のデータのみを取得していましたが、ハウスクエストワールドでは購買前の生活者の行動・接触データも可視化できるようになった点も、大きな意義のある取り組みです。

成果として、LINEミニアプリの登録数・参加数は開始早々に目標値を達成しました。平均滞在時間は約8分に達し、コーポレート系の取り組みとして高い水準です。LINE公式アカウントのクリック率は、実施前と比較して約7倍に向上しており、生活者のなかでブランドの想起が高まっていることが数値からも確認できます。さらに2026年1月からはJANコード読み取り機能を追加し、購買前から購買後までの一連の行動ログを把握できる体制が整いました。購買以外の接点でも関係を深め、購買行動とのつながりまでを一貫して捉えられる仕組みへと進化しています。
事例②:顧客接点を統合し来店機会につなげた Jeepリワードプログラム
伊部:二つ目の事例は、Jeepリワードプログラムです。検討期間が長い商材こそこのミッション型ロイヤルティプログラムが力を発揮するという意味で、非常に象徴的な事例です。
このプログラムの導入の背景には、タッチポイントの分散という課題がありました。LINEキャンペーン、自社サイト、雑誌掲載、イベントなど、各タッチポイントで生まれる興味・関心を取りこぼすことなく、購入までナーチャリング(育成)していくための受け皿が必要でした。そこで、LINEミニアプリをさまざまな施策の統合プラットフォームとして位置付けました。
ミッションとしては、記事読了やYouTube視聴、イベント来場のほか、ディーラーでの試乗・査定といったハードルの高い取り組みも設定しました。通常であれば試乗・査定はかなりハードルの高い行動ですが、ミッションという形でポイントに紐付けることで、自然な流れで参加を促す設計としています。ポイントを貯めるとJeepオリジナルグッズと交換でき、そのグッズはディーラー来店時に受け取れる設計になっているため、グッズ交換自体がディーラーへの再来店を促す動機にもなっています。

評価ポイントとしては、ブランドへの興味・好意を維持したまま来店につなげられた点、従来施策と比較して来店獲得単価が良好だった点、そして来店前にミッションを通じて検討を深めた状態での来店を実現した点、つまり質と量の両面で成果を上げた点が挙げられます。成果として、ディーラー来店ユーザーの約半数が試乗・査定ミッションに参加しています。また、試乗ミッション参加ユーザーの3分の2が事前にミッション型ロイヤルティプログラムで何らかの情報接触をしていたことも確認されました。つまり、来店する前からしっかりとブランドへの理解と好意が醸成されていたということです。このプログラムがユーザーの興味・好意を高めた状態での来店を実現できることが、数値からもうかがえます。
事例③:単発キャンペーンを継続的な顧客育成へ進化させた キッコーマン豆乳「豆レージ」
伊部:三つ目の事例は、キッコーマン豆乳の「豆レージ」です。ここまでの二つの事例はゲーム性やブランド好意の醸成にフォーカスした取り組みでしたが、本事例は SP EXPERT’S が従来強みとしてきた販促領域に直接寄与する内容です。
採択の背景には、キャンペーンのコスト効率という課題がありました。これまでもLINEキャンペーンをご一緒していましたが、1回あたりのキャンペーン費用を抑えつつ、継続的に販促活動をおこないたいというご要望がありました。そこで、年間を通じて常時展開できるミッション型ロイヤルティプログラムをご提案しました。
仕組みはシンプルです。商品購入後にレシートをアップロードするとポイントが貯まり、いつでも好きなタイミングで景品と交換できます。期間限定のキャンペーンとは異なり、年間を通じていつでもポイントが貯められるため、「続けてお得に飲用する」という体験が自然と生まれます。この仕組みには二つの特徴的な設計が組み込まれています。
一つ目はランク制度です。直近6ヶ月のポイント数に応じて「豆乳プロ」「豆乳スペシャリスト」などの3段階のランクを設け、ランクに応じた景品を用意しています。せっかく上位ランクを獲得したのに下がりたくないという心理が、継続購買のモチベーションとして機能する設計です。二つ目は、休眠ユーザーの掘り起こし施策です。期間限定のキャッシュバックキャンペーンを組み込むことで、しばらく購入が途絶えていたユーザーへも再アプローチできる仕組みにしています。ロイヤル顧客の維持と休眠ユーザーの活性化という、異なる課題を一つのプラットフォームで同時に解決した事例です。

事例④:観光客を地域のファンに変えた海士町公認アプリ「miniama」
伊部:四つ目の事例は、島根県隠岐諸島にある海士町の公認アプリ「miniama」です。 SP EXPERT’S としてこれまで食品・飲料メーカーなどの販促キャンペーンが中心でしたが、観光・自治体という新しい領域でミッション型ロイヤルティプログラムの有効性を示した事例として、高く評価されています。
海士町は人口約2,300人の離島ですが、観光客を含む島外ユーザーの登録も広がり、 登録数は島人口の10倍に達しました。観光客をはじめ島外からも多くの方々に関わっていただけたことが、この数字からも伝わります。
仕組みとしては、島内各所に設置されたポスターのQRコードを読み取るとポイントが獲得できます。獲得したポイントは、海士町の地域通貨への交換や、島の海への寄付に充てることができます。単なる観光スタンプラリーではなく、その土地への貢献につながる体験として設計されており、「また来たい」「この島を応援したい」という関係人口(地域に継続的に関わる人々)の拡大にも寄与しています。
ミッションの内容は、海士町の皆様と丁寧に議論を重ねながら作り上げました。観光雑誌やSNSで紹介されるような定番スポットだけでなく、実際に島を訪れた人だけが体験できる、島ならではの文化や歴史に触れるミッションを数多く盛り込んでいます。観光客が楽しみながら島の魅力を深く知り、ファンになっていける体験設計を実現できた事例です。

データ活用とDialogOne®の役割
ミニアプリで取得可能な多様なデータ
池田:ミッション型ロイヤルティプログラムでは、購買情報だけでなく、ポイント取得・特典応募・アンケート回答・レシートデータ(購買店舗・日時などの詳細情報)など、多様なデータを取得できます。これらを実際のコミュニケーションに活かし、顧客一人ひとりに最適化された精緻なメッセージングを実現するのが「DialogOne®」の役割です。
DialogOne®によるパーソナライズの実現
池田:「DialogOne®」は、LINEでのコミュニケーションをストレスゼロで実現することをテーマに開発されたソリューションです。 LINEヤフー株式会社が提供するAPIを活用し、適切な許諾・管理のもとで取得したデータを連携することで、顧客一人ひとりに合わせたメッセージングを支援します。
主な特長として、データの可視化機能が挙げられます。LINE公式アカウントの友だちとなった顧客の行動データを可視化し、顧客体験の改善サイクルを構築できます。さらに、ミニアプリとの連携を含む豊富な機能を搭載しており、より理想的な顧客体験を提供できます。管理画面はLINEヤフー株式会社の標準的な設計に近く操作しやすい仕様で、問い合わせ対応体制も整えています。LINEヤフー株式会社からも「Technology Pertner」や「Sales Pertner」として認定されています。

主な機能としては、アンケート機能、LINEからの遷移先データをUIDと紐付けて追跡するトラッキング機能、友だち追加の流入経路計測機能などがあります。
ロイヤルティプログラムとDialogOne®の連携
池田:ミッション型ロイヤルティプログラムと「DialogOne®」を連携することで、企業がすでに保有するCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)やMAツール(マーケティングオートメーション)との接続も可能になります。LINEにとどまらず、メールなど複数チャネルを連動させた施策・データ連携が実現できます。ユーザーのステータスに応じてLINE公式アカウントからメッセージを送るといった活用方法も可能です。
体験設計としては、ミッション型ロイヤルティプログラムで取得した多様なデータを統合・管理し、「DialogOne®」の配信機能を通じて One to One ・コミュニケーションへとつなげます。蓄積されたデータをもとにPDCAを回す改善サイクルまで、トータルでサポートできる体制を整えています。

2社連携が生み出す価値
池田:最後に、2社連携の価値について整理します。事例でご紹介したとおり、体験の設計という観点では、単純に機能的な価値を伝えるだけのキャンペーンプラットフォームにとどまらず、 ユーザーのLTV向上につながるよう、継続的な関係構築を意識したミッションを設計していくことが重要です。この体験設計のプロとして、 SP EXPERT’S がこれまで積み上げてきた実績を提供します。
一方、Hakuhodo DY ONEでは、コミュニケーションの設計をミニアプリ単体の施策で完結させるのではなく、メッセージングやLINEというプラットフォームをどう統合的に活用していくかという視点で取り組んでいます。Hakuhodo DY ONEはLINEだけに特化しているわけではないため、CDPやMAとの連携を含む幅広い包括的な対応力が強みです。
この2社の強みを組み合わせることで、LINEミニアプリを活用したロイヤルティプログラムを、単体施策にとどめず、より統合的なマーケティング活動へとつなげることができます。連携体制により、顧客体験の設計からデータ活用、コミュニケーションの改善まで、一貫してご支援します。

この記事の著者
ONEDER編集部
ONEDER(ワンダー)は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する 「デジタルマーケティングの視点から、ビジネス・社会に『驚き』と『価値』を創出するメディア」です。 デジタルマーケティングを推進する企業の方々にとって信頼できる情報源となり、 ビジネス、ひいては社会の発展に貢献できれば幸いです。
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